岩見沢市立教育研究所 ブログ
第1期岩見沢市ピア・サポート研修会開催
今年度も広島大学名誉教授 栗原慎二先生をお招きし、子どもたちの良好な人間関係のもと主体的な学びを育む「岩見沢型ピア・サポート」の構築をめざす研修会が開催されました。

岩見沢市では、栗原先生と年3回の集中的な研修を3年間実施することで、学力の向上、不登校対策、いじめの未然防止など、今日的な教育課題への学校と教師の対応力を高める研修を実施しています。今年度は昨年度に引き続き2年次の開催となります。

一昨日は、市内全小中を視察され、昨年度の成果を確認され、各学校の取組のコンサルティングをしていただきました。

栗原先生からは、近年の様々な教育課題への対応の基本として 「レビィンの関数」B=f( P ・E ) ※ Bはbehavior(行動)、Pはperson(人間性・個性・価値観等)、Eはenvironment(環境)、fは関数(function)の紹介がされ、子どもを育てるための環境の変化が大切であることが示されました。いかに”学校が変わるか、教師が変われるか”ということを受講されている先生方に問いかけられていました。

また、先生からは、子どもを取り巻く様々なデータや指導の根拠となる考え方や理論が紹介されていましたが、講座では受講されている先生方に、そのことに対する自分の考えを明確にする時間を設けたり、グループ協議で様々な考え方を交流しコンセンサスを得たり、共有・共感する機会を設けたりするなど、研修内容を主体的に受け止め、各学校に戻られて実践に活かせるような内容でした。



今年は、8月に第2期、1月に第3期が開催されます。各学校での実践が深まり、多くの子どもたちの笑顔につながることが期待されます。
「年度始めの授業公開」日の出小第4学年「算数科」「道徳科」
日の出小第4学年で年度始めの授業公開が行われました。
算数科「わり算の筆算」では問題文を提示する中で、算数用語を確認したり、学習の見通しをもたせたりしていました。既習事項を掲示物で確認し、考えさせるしくみも見られ、子どものつぶやきから教師が上手に子どもの意欲を引き出していました。



教師の問い返しからの子ども同士の対話や、教師とのやり取り、テーブル型ホワイトボードの活用等、それぞれの学び方で取組む子どもたちの姿が見られました。
子どもの声をつないで「わる数>あまり」の関係に注意して筆算することが大事とまとめました。
続いての道徳科では。「正直ではなくてごまかしてしまったことはあるか?」「どうして正直って難しいのか?」と子どもたちの経験を想起させ、「正直」をキーワードに自分自身について考えることを確認しました。




個人思考をしっかり行ったあと、ロイロノートの活用により、自分とは違う考えの人と積極的に交流することをとおし、考えを深める姿が多く見られました。
どの授業も発表者に体を向けて聞くことや、机上整理など、日頃からの学習ルールが徹底されていることをしっかり感じ取ることができました。

授業を公開していただいた日の出小学校、並びに授業公開していただいた先生、ありがとうございました。
「年度始め授業公開」 岩見沢小第6学年「社会科」
岩見沢小学校で第6学年の社会の授業が公開されました。この時間では、前の時間に学習した国民主権や基本的人権の学習を踏まえたうえで、日本国憲法で示されている平和主義について調べる活動を行い、平和への願いや努力について理解することをめざしたものでした。

本時のねらいに関する意識を高めるために、先の大戦下における同年代の国民学校の子どもの軍事教練の様子を記録した映像を提示します。現代の自分の学校での生活の様子と比較しながら、どの児童も興味をもって視聴しています。

「今の日本の平和はどのように作られたのか」という学習課題を設定し、一人ひとりが自分なりの仮説を考えます。それをロイロノートに書き込み、全体に表示し共有します。

自分の仮説に基づき、いろいろな資料で調べる活動を行います。まとめの時間も考慮して時間設定をしていました。


タブレットの画面を分割して効率的に調べている児童も多かったです。

十分に調べ学習を行ったあと、教師が児童と上手に対話しながら問題解決を支援します。教師のファシリテータとしての役割を発揮していました。

参観された先生方からは、「仮説を立てて、それぞれ一人で調べる児童もいれば複数人で調べている児童もいて、多様な学習スタイルになっており、個別最適な学習になっていると感じた」「全員で調べた内容を共有し、理解を深めることができていて、協働的であると感じた」などの感想が寄せられました。憲法が掲げている平和主義への国民の願いや決意、様々な立場の人々の努力について意見を引き出し、本時のねらいを達成していました。授業の公開、ありがとうございました。
「年度始め授業公開」光陵中 第1学年 「理科」
中学校に入学してまだ間もない光陵中1年生の「理科 身のまわりの物質」の授業が公開されました。
前時までの「密度」の学習を踏まえ、物体の質量と体積を調べ、求めた密度から金属の種類を考えるという実験を行いました。
平成27年度の全国学力学力・学習状況調査 小学校理科で出題されたこともありますが、メスシリンダーの扱い方、目盛りの読み方など、実験の基本について丁寧に確認していました。

参観された先生方からは、「生徒が手際よく効果的にロイロノートを使いこなしていた」、「生徒に考えさせる授業づくりについて参考になった」といった感想をいただきました。

授業公開を行っていただいた光陵中学校、並びに担当の先生、ありがとうございました。
5月になりました
5月1日、本日は朝から雲一つない快晴です。敷地内の桜もぼちぼちと咲き始めました。

今年は、雪解けは早かったのですが、4月中は天候も安定せず、昨年よりも遅い開花となりました。全体的には八分咲きでしょうか。

あわせて梅の木もあるのですが、こちらはまだつぼみが堅くもう少しですか。


ゴールデンウィークには、桜との共演が見られるかも知れません。
研究所前の芝桜もきれいに咲きました。


第1回「教頭・研究担当者研究協議会」が開催されました
岩見沢市では、「確かな学力の向上」を重点に掲げ、①授業時数特例校制度の活用 ②学校として統一性・一貫性のある校内研修の推進 ③コミュニティ・エリアにおける9カ年を見通した組織的な学力向上 ④学習集団づくりにつながる「岩見沢型ピア・サポート」の推進について各学校に具体的な取組を求めています。

これらの取組の推進に向け、市内各学校の教頭、研究担当者が一堂に会して年4回、本研究協議会が実施されます。今年度は「学習者主体による授業づくり」に向けて、市内全22校が、ねらい、めざす所を共有し、各学校が知恵をしぼり研究・研修をすすめていくことが期待されています。

また、「令和の日本型学校教育」の構築の中で重要とされている「研修観の転換」を図るためにも、各学校の管理職、校内の研究・研修をリードする担当者を集めての本研究協議の役割は大きなものがあると思います。先生方の課題に対する問題意識の醸成と問題意識に基づく主体的かつ協働的な協議が求められます。

今回の研究協議では、直近に実施された、全国学力・学習状況調査について、具体的な各教科の問題を協議することで、子どもたちに求められる力、そのための各学校の取組について考えてもらいました。

出席された先生からの振り返りからは、
「今回の協議会では全国学力・学習状況調査について中学校の先生のお考えも聞けたことが有意義でした。9年間を見通した学びの連続性を十分意識した学習指導の必要性を強く実感しました。」

「読解力の重要性。その力をつけるためには、国語の授業だけなく各教科等、学校の活動全般で行うことが大切である。」
「Bグループでは、学力調査の問題で、自校と他校で正答率が低い問題、高い問題を比較し、何が弱いかを話し合いました。テストの内容は難しくなかったため、国語の読解力や日常とのつながりを意識していく必要があるということを指摘する声が多かったです。また、コミュニティ・エリアでピア·サポートの取り組みが強化されており、中学校に上がる上で、同じところを目指していくことや接続会議にも生かしていくことを確認しました。」

「1つ目の協議の全国学調の感想交流について。出題された問題の傾向から、どんな学習が必要なのかの意見交換を柱に行いました。基礎・基本の定着はもちろんなのですが、生活に即した問題が多く、実体験・経験があるかどうかで差があるかもしれないという話から、総合的な学習の時間の重要性をあらためて確認しました。また2つ目の協議の今年度の研究の交流では、大筋同じ考えの下で研究が進められていくことが確認できました。」
「昨年度のグループとは違い、同じ中学校区で学調分析の話ができたことが、大変有意義な時間であった。正答率の低かった問題や無回答率の高い問題を交流したことで、同じ地域の児童が抱えている課題にグッと迫ることができました。」

などの振り返りがみられ、子どもたちに求められる力やこれからの取組への中学校区エリアでの共有ができたと思います。
「年度始め授業公開」 東光中第3学年「数学科」
年度始め授業公開が東光中学校で行われました。3学年数学科「多項式」の授業です。本時は、乗法公式四つのうち、最後となる(x+a)(x-a)=x2-a2の展開についての学習です。この単元の学習においては、単に公式を用いて計算ができるようにするだけではなく、それらの公式がどのように導かれるのか、なぜそのように使うのかを理解することが極めて大切です。

(x+a)(x-a)の形の例題を与え、実際に計算させてみたあと、周りの生徒とその結果や気づいたことを話し合わせます。

xの一次の項がなくなってしまっていることについて生徒に説明させ、前時に学習した公式との違い等についてしっかり把握させ、四つめの公式としてまとめます。


いくつかの練習問題に取り組ませ定着を促します。

「活用」として、いくつかの式について、これまでの四つの乗法公式のいずれを用いることができるか、ロイロノートのツールを使って分類させます。(x-9)(9+x)の式について、既習内容の「交換法則」を用いて(x+a)(x-a)=x2-a2の公式を利用することができることについても理解させていました。

最後は振り返りと発展問題に取り組んで授業を終えました。

参観された先生からは、「話し合いの時間を確保し授業が展開されるとともに、テンポも良く、黒板とICTをうまく活用していると思いました。」「単元の中で子どもたちが見通しを持って学習に取り組み、また、ICTの活用が学習効果に結びついていることが参考になりました。」「生徒の話し合いの時間の設定が勉強になりました。教えるではなくて気づかせる働きができるように頑張りたいと感じました。」との感想が聞かれました。
数学的な表現を用いて論理的に説明し伝え合う数学的活動が取り入れられ、単に公式を使うだけではなく、その方法が交換法則、結合法則や分配法則などを基にしていることを理解するなど、公式のもつ意味を理解し、式を能率よく処理することができることを目指した授業でした。授業の公開ありがとうございました。
「年度始め授業公開」南小第4学年「道徳科」
南小第4学年で「道徳科」が公開されました。教室に入ると大型ディスプレイに「正直」の文字が掲げられ、参観された先生方も若干緊張の面持ちで観ていました。

はじめに、「うそやごまかしの思い出」ということで、自分の経験を話す所から始まりました。参観されていた先生方にも参加してもらいながら笑いを誘いながら、子どもたちの心の緊張をほぐしていきました。
子どもからの「宿題をやっていないのに、やったとうそを言った」という発言に、まわりの子も「あるある」という声が多数あがりました。また、子どもたちの体験談から「正直は損をするのか」という問いをもたせ、「正直でいるといいことがあるの?」という本時のテーマを設定し「考え議論する道徳」を目指した授業となるよう展開していきました。
教科書教材(光村)「『正直』五十円分」を読み「正直」が”得と損”という観点から子どもたちに考えさせました。

たこやきを買った時、多くもらったおつりを「返す」「返さない」という葛藤を「天使」、「悪魔」というキャラクター設定で、両方の立場から考え、自分の「心の弱さ」を自覚できるよう工夫されていました。

ワークシートに「天使」と「悪魔」の”ささやき”を個々に考え交流していきました。天使の発表では、やさしくささやくように「正直にすることの大切さ」を説くように発表したり、悪魔の誘惑のある発表だったりと、よい心、悪い心が交互にでるようにして心の葛藤を確認していました。

そして、ここで先生は、唐突に「『正直』でいると『たこやき』がもらえる」とまとめ、子どもたちにゆさぶりをかけます。子どもたちからは「そんなわけないじゃん」「正直イコールたこやき?」などの声があがりました。
子どもたちからは、教材に登場する人物のそれぞれの立場から、いろいろな思いがあることが発表され、「正直」でいることが、「それぞれにとっていいことになる」というようにまとめられました。
このまとめに参加(発表)できていない子どもたちがいたので、再度、「正直」とはどういうことか、自分の考えをまわりの人(参加されている先生方も含めて)と交流して確認するよう指示しました。

子どもたちは、友だちや参観されている先生方と交流しながら、自分の考えを確かめ、深めていきました。また、一人で教科書に立ち返り、自分の考えをじっくりとワークシートにまとめている子など、それぞれのスタイルで考えを深めていました。

最後に、それぞれの立場から「もし・・・・だったら」という投げかけ子どもたちにして、「いろいろな立場、考え方」についても考えさせ「『正直』はみんなを幸せな気持ちにさせる」というまとめで授業を終了しました。
参観された先生からは、「子ども達が話しやすい雰囲気で発言が活発でした。また板書も多様な意見と子どもの思考が見やすく整理されていて良かったです。最後にもしも〇〇だったらのところでさらに多面的な見方を示していたところも参考になりました。」というような感想も聞かれ、子どもたちがテーマに向かって一生懸命考え議論できた授業であったと思います。南小4年生、授業を公開いただいた先生ありがとうございました。
「年度始め授業公開」 幌向小第6学年「社会科」
年度始めの授業公開が行われています。今回は幌向小学校での6年生の社会科の「国会の働き」についての学習です。
国会や国会議員について、その会期の長さやかかる経費など、資料をいくつか提示し、児童の「問い」の意識を高めます。そこから「国会ではどのようなことを話し合っているのか」という学習問題を設定していきます。

学習問題について、自分なりの仮説をロイロノートに記述し提出していきます。児童の方から、「〇〇に関係することは〇色にしよう」と提案され、全員の仮説の分類ができるよう提出していました。

次に、自分の仮説に基づいて、調べ学習に入ります。「どれくらい時間が必要かな」「〇〇分までにしよう」と、児童が主体的に学習を進めます。Webで検索したり、教科書で確かめたり、隣の児童と相談したり、調べたことを絵で表現したり、個々でじっくりと考える場を設定しています。

自分で調べたことを発表し、国会の役割を整理しつつ、児童の言葉をもとにしてまとめに入ります。

最後に、今日の授業を振り返ります。「ふり返りのレベルアップ」を提示し、「わかったこと」や「新たな疑問」を明確にさせていました。

国会の仕組みとその働きについて学ぶことを通して、国会などの議会政治の意義や生活との関わりについて意識を高めるとともに、調べ学習では多様な学びが展開される授業となりました。
授業公開を行っていただいた幌向小学校並びに担当の先生、ありがとうございました。