岩見沢市立教育研究所指定事業 道徳科部会 公開研究会が行われました

【研究テーマ】郷土に愛着と誇りをもち、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる授業づくりと子どもの育成

 12月9日(火)、当研究所「道徳科」研究部会の指定校である東光中学校区において、公開研究会が開催されました。
 当日は、岩見沢小学校を会場とし、中学校区の東光中・東小・岩見沢小の教職員をはじめ、空知教育局、市教育委員会からの来賓、市内教員等が参加しました。講師には、岐阜聖徳学園大学教授 山田貞二氏をお迎えし、公開授業・研究協議・講演を行いました。  

 6年松組での公開授業では、岩見沢小学校出身で世界的に活躍したグラフィックデザイナー 栗谷川建一氏の作品や生き方を通して、児童が「ふるさと」について考える学習が展開されました。道徳科における「郷土愛」の指導の在り方について深く学ぶ機会となりました。

 岩見沢小学校では、各教室前の廊下に栗谷川氏の作品が展示されており、複数の学年で総合的な学習の時間や図工の時間等で栗谷川氏について調べる活動に取組んできました。
 今回、公開された授業では、人生経験の浅い小学生にとって、共同体や郷土への愛着を実感することの難しさを踏まえ、「経験と気付きの積み重ねの中で、郷土愛は育まれていく」という考えのもと、指導案を作成しました。何気ない日常や地域の人との関わりを通して、「当たり前の風景」の中にある温かさや支えに気付くことができるよう、場面設定や発問について吟味を重ねてきました。

 公開研究授業に先立ち、東光中学校区において小中連携研修会が実施されました。研修会では2校の小学校と1校の中学校を会場に「伝えるということ」(教育出版・中2)を読み物教材として取り上げ、発達段階や児童生徒の実態に応じた示範授業が、山田貞二先生によって行われました。
 示範授業からは、児童生徒の内なる声を引き出す「対話的な学び」の土台作りの重要性や、「もう少し詳しく教えて」「どういうこと?」といった、子どもの思考を揺さぶる問いかけ・発問の在り方等について示されました。
 さらに、発言を促すコミュニティボールや、ICTを活用した「心の数直線」による気持ちの可視化等、すぐに実践に活かせる多くの示唆を得ることができました。

 講演では、「モラルは習慣、道徳は実践」という話しを切り口に、多様な他者との“対話”や“議論”を通して、自分なりの『納得解』(=自己決定)探ることこそが道徳授業の基盤であると語られました。続いて、道徳授業においては「スキルは3番目であり、教材分析と対話が最重要である』とし、『教材分析→対話の設計→技法の選択』という授業づくりの基本を徹底する必要性が強調されました。
 さらに、対話スキルは学級経営・生徒指導の基盤でもあること、ペアでの対話を基本に、「傾聴・復唱・オープンクエスチョン」を通して、『共感→自己肯定感→安心感→自己決定の力(納得解)』へとつなげていくことの重要性が示されました。記述と対話のバランスや、教材分析における「素材研究→教材研究→発問づくり」の流れについても具体的な話がありました。

 本研究会は「郷土愛」を切り口に、道徳授業の本質や授業づくりの方向性を共有する貴重な機会となりました。今後も、対話を大切にした道徳授業の実践が、継続的に積み重ねられていくことを期待します。結びに、本研究会の開催にあたり、ご尽力いただいた東光中学校区の岩見沢小・東小・東光中の教職員、及び参加された全ての皆様に心より感謝申し上げます。