岩見沢市立教育研究所 ブログ

不登校対策研修会

 8月1日、「不登校対策研修会」を行い、市内各小・中・義務教育学校の生徒指導の担当者等が参加しました。

 今年度の講師は、日本医療大学 総合福祉学部 ソーシャルワーク学科 准教授の丸山正三先生です。先生は北海道スクールソーシャルワーカー・スーパーバイザーとしても活躍されています。

 先生の講義では、各種調査や統計から見えてくる不登校の実態やそれにかかわる課題、子どもと家庭に関する不登校の要因の理解などについて詳しく解説がありました。これらに対応するに当たってはアセスメントが重要であることが示され、そのポイントや視点を説明していただきました。

 続いて、ある事例に基づき、グループごとにアセスメントとそれに基づく支援方針を検討する演習を行い、参加者は学校として児童や家庭にどのように働きかけるかなどについて協議をもとに発表を行いました。

 最後に、学校・教員として、児童生徒の学びを保障し、支援とその体制づくりのためにどのようにしていくべきかグループごとに検討しました。

 参加者からは「演習を通じて、学びの保障・校内支援体制・家庭との連携の必要性について確認できました」、「アセスメントをしっかり行い、学校だけでなく地域の方やSSWと連携を図りながら不登校の支援体制を作る必要があると感じました」などとの感想が寄せられました。夏季休業期間中の大変暑い中でしたが、各学校で今回の研修成果を二学期からの不登校対策に生かしてくれるものと思います。

第2回教頭研究担当研究協議会

 市内の小・中・義務学校の教頭と研究担当者が集まり「第2回教頭・研究担当者研究協議会」が開催されました。今回は全国学力学習状況調査結果が各学校に返却されましたので、各学校の分析・改善取組状況等を交流するとともに、研究所からは、生成AIを活用した研究授業等の分析の実際について説明しました。

 生成AIの教育現場での可能性に大きな注目が集まっていますが、AIを用いた授業分析や児童の発言分類は、業務効率の向上や授業の質の改善に寄与することが実感され、参加者からは「想像以上にできることが多かった」「今後、校内でも導入を検討したい」との声があがりました。一方で、ICT環境や制度面の課題も明らかとなり、理解促進のための研修の重要性も再認識されました。

 また、全国学力学習状況調査やNRTの結果を活用した授業改善の必要性も共有され、「データから逃げずに現実を見つめる」姿勢の大切さが強調されました。他校との比較を通じて、自校の変容に注目する視点も得られました。

 さらに、小中連携の取組が各地で進みつつあり、9年間の学びを見据えた協議が実践的に行われています。研究推進や校内研修の在り方についても見直しの機運が高まり、他校の実践から多くの刺激が得られました。

教師としての覚悟を促す言葉や、子ども理解の視点など、多角的な学びに満ちた協議会となりました。

北教大岩見沢校と連携した出前授業

 今年度も、当研究所では北海道教育大学岩見沢校並びにコンサドーレサッカースクールと連携し、「出前授業」を実施することとしています。この事業では、北海道教育大学岩見沢校の教員やコンサドーレサッカースクールのコーチといった高度な専門性を有する人材が、学校に赴いて一単位時間の授業を行います。これにより、学校教員の各教科における指導技術や指導内容への理解を一層深めるとともに、児童生徒の学習内容の深化と学習意欲の向上を図ること目的としています。

 第1回目は、志文小学校5年生に対し、北海道教育大学岩見沢校の先生をお招きし、「バレーボール」の内容で行われました。

 始めは、「投げる」「受け止める」動きを中心に、相手のコートに上手に落とすことができるようチームで取り組みました。

 この活動を踏まえ、テーマである「どの技能レベルでも、楽しむことができるバレーボールの試合とは?」に迫るため、誰もが満足のいくゲームとなるように各チームで相談して独自のルールを考える活動を行い、実際にゲームをしてみました。

 それぞれ、「相手に返すまでの時間を制限をする」、「勝っているチームは触れる回数を少なくする」など独自のルールを設定したことで、誰もがゲームを通してバレーボールの楽しさを感じ取ることのできる授業となりました。

 ご指導をいただいた北海道教育大学岩見沢校の先生、ありがとうございました。

所報第176号

 所報の第176号を発行し、市内の小・中・義務教育学校への配信を行いました。掲載内容は、既に実施した研修講座の様子その他です。どうぞご覧ください。

特別支援教育支援員研修講座

 岩見沢市には29名の特別支援教育支援員が配置されています。配置されている各学校において特別な支援を要する児童生徒に対し担任等と連携の上、学校生活を円滑に送れるようにサポートしており、その方々を対象とする研修講座を行っています。

 今年度は、北海道特別支援教育センター 主任研究員 大西 修 氏を講師として、「特別支援教育支援員の基本的な役割と心構え、対応の実際について」と題して講義等をいただきました。

 大西主任研究員は、

  • 特別支援教育支援員の現状と役割
  • 障害のある児童生徒の理解
  • 障害のある児童生徒の支援のあり方

について、実例や演習を交えつつ、特別支援教育支援員の基本的な役割と心構え、学級担任と連携して行う子どもへの対応の在り方等についても触れながら、丁寧にご指導いただきました。

 グループ協議や意見交流では、参加者自身の取組をもとに交流し、互いの悩みや活動の工夫について積極的に交流がなされていました。

 参加者からは、「動画等の実例を資料として使っていただき、大変わかりやすく、勉強になりました。」、「子どもとの信頼関係を大事にし、声掛けや支援をしていきたいです。」、「毎日様子の違う子どもに対し、小さなことでも変化を見逃さず担任の先生と情報交換していきたい。」などの感想が聞かれ、多くの成果を学校に持ち帰ることができたようです。ご指導いただいた内容を、参加者がこれからの支援に活かせるよう期待しています。

遠隔学習 沖縄県石垣市立石垣小学校との交流

 南小学校第4学年では、遠く3000Km離れた沖縄県石垣市立石垣小学校とテレビ会議システムを活用し交流を図っています。

 今年度第1回目の交流ということで、子どもたちには、どこと繋げているということは内緒でテレビ越しに対面としました。先生からは、どこの地域、学校かを、互いに質問して探るということから始めました。

 子どもたちからは、「暖かい地方ですか?」「北海道ですか?」先方からは「雪が降りますか」など、核心をついた質問がされ、お互いの場所がわかると、互いに驚きの声が響いていました。

 次に、先生からは、「せっかくなのでお互いに友だちになりましょう」と呼びかけがあり、「友だちになるためにどうしたらよいか」という問いが出され、「どうしたらよいか」を互いの学校で子どもたち同士で考えさせていました。

 子どもたちからは、「自己紹介がいい」という考えが出されました。両校とも60名近くの子どもたちが在籍しているので、実際に自己紹介は難しいことから、次回までにどのように「友だちになって交流できるのか」を考えて1回目を終了しました。

 岩見沢市から3000Kmも離れた学校同士の交流に、両校の子どもたちは大喜びでした。このような遠隔学習で、お互いを知ること、互いによりよい交流となることなど、望ましいコミュニケーションの力が育つことが期待されます。今後の展開が楽しみです。

特別支援教育研修講座を実施しました

 5月29日、特別支援教育研修講座が行われました。この講座は、特別支援学級の学級編制の考え方や法的な位置付けをはじめ、障がいの状態等に応じた指導内容や指導方法、週時程と学習活動の実際等についての理解を深め、一人一人の障がいの状態等に応じた教科指導や自立活動など、障がいの特性に応じた教育課程の編成と実施に資するために行われるものです。市内の小・中・義務教育学校の特別支援教育コーディネーターと管理職が参加しました。

 講師は、空知教育局教育支援課学校教育指導班 油川智史 主任指導主事です。

 講師の先生からは、「障がいの特性を考慮した教育課程の編成と実施」と題して、管内の特別支援学級の現状と課題、特別の教育課程を編成する際の留意点、自立活動や交流・共同学習のあり方等について大変丁寧に講義をいただき、理解を深めることができました。

 また、コーディネーター・管理職別のグループによる演習が多く取り入れられ、その結果それぞれの立場における特別支援教育の推進と充実改善について深く学んでいる様子が見られました。

 参加者の「振り返り」からは、「特別支援教育に係る教育課程編成の具体的な説明・解説をいただき考慮すべき点や児童一人一人の実態に応じた編成の仕方について理解を深めることができました。」、「他校との交流という貴重な機会を通して、本校における個々の児童の障がいに応じた教育の実践について深く考えさせられました。」など、多くの学びや気づきを得られているようでした。市内の各学校で、一層特別支援教育の指導体制と指導内容が充実されることを期待しています。

第一回教育研究所運営委員会

 5月19日、当研究所、今年度の第一回の運営委員会が開催されました。運営委員会は、研究所の円滑な運営を図るため、「岩見沢市立教育研究所設置条例」に基づいて設置されているものです。

 運営委員は11名の方からなっており、教育長から委嘱状が交付されました。委嘱期間は、2年間です。

 研究所からは、運営方針と事業計画、五つの研究部会の部長からは研究テーマと部会の活動計画等について運営委員の皆様に説明を行いました。

 委員の皆様との質疑応答や意見交換では次のような内容の議論がありました。

  • 外国語教育の小中連携:共通の「学びの地図」作成を検討
  • ICT活用と情報モラル:両立の重要性が指摘される
  • ピアサポートの背景:不登校やいじめの増加への予防的対応
  • 用語の違い:「発話」と「発問」の使い分けについて説明あり
  • 大学との連携:出前授業の講師派遣など
  • 研修のICT:オンライン講義の視聴を進めている

 いただいたご意見等を参考に、各部会の研究成果を学校現場に共有し子どもたちの成長につなげることと、 より分かりやすい情報発信と現場に即した研究推進に努めて参ります。今後ともよろしくお願いいたします。

所報 第175号

所報 「いわみざわ」第175号を発行いたしましたのでお届けいたします。

ご覧いただき、ご意見・ご感想などをお聞かせください。

第1期岩見沢市ピア・サポート研修会開催

 今年度も広島大学名誉教授 栗原慎二先生をお招きし、子どもたちの良好な人間関係のもと主体的な学びを育む「岩見沢型ピア・サポート」の構築をめざす研修会が開催されました。

 岩見沢市では、栗原先生と年3回の集中的な研修を3年間実施することで、学力の向上、不登校対策、いじめの未然防止など、今日的な教育課題への学校と教師の対応力を高める研修を実施しています。今年度は昨年度に引き続き2年次の開催となります。

 一昨日は、市内全小中を視察され、昨年度の成果を確認され、各学校の取組のコンサルティングをしていただきました。

 栗原先生からは、近年の様々な教育課題への対応の基本として 「レビィンの関数」B=f( P ・E ) ※ Bはbehavior(行動)、Pはperson(人間性・個性・価値観等)、Eはenvironment(環境)、fは関数(function)の紹介がされ、子どもを育てるための環境の変化が大切であることが示されました。いかに”学校が変わるか、教師が変われるか”ということを受講されている先生方に問いかけられていました。

 また、先生からは、子どもを取り巻く様々なデータや指導の根拠となる考え方や理論が紹介されていましたが、講座では受講されている先生方に、そのことに対する自分の考えを明確にする時間を設けたり、グループ協議で様々な考え方を交流しコンセンサスを得たり、共有・共感する機会を設けたりするなど、研修内容を主体的に受け止め、各学校に戻られて実践に活かせるような内容でした。

 今年は、8月に第2期、1月に第3期が開催されます。各学校での実践が深まり、多くの子どもたちの笑顔につながることが期待されます。